国立長崎原爆死没者追悼平和祈念館
2007年9月16日訪問
長崎原爆資料館に隣接して国立長崎原爆死没者追悼祈念館がある。
資料館の見学を終えて引き続き訪れることのできる構造になっている。
また、最寄りの電停浜口町から坂を歩いて上ると自然に足が向くところに入り口がある。
資料館と同じく地下におりていく構造なので、地上部は夜には7万もの追悼のあかりが灯るという、水を湛えた巨大な水盤が見えるだけである。
この追悼祈念館は原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律に基づいて2003年に開設された。
その法律に、こうあることによる。
(平和を祈念するための事業)
第四十一条 国は、広島市及び長崎市に投下された原子爆弾による死没者の尊い犠牲を銘記し、
かつ、恒久の平和を祈念するため、原子爆弾の惨禍に関する国民の理解を深め、
その体験の後代の国民への継承を図り、
及び原子爆弾による死没者に対する追悼の意を表す事業を行う。
館には3つの目的がある。
まず、原爆犠牲者への追悼と平和祈念。
それから被爆体験継承のための情報の収集と提供。
そして被爆医療や平和の国際協力・交流に関する情報提供。
斬新な設計による荘厳な建築。
様々な意図を含意する水や灯りや光のデザイン。
情報の提供には最新のハイテク機器。
贅をこらしたともいえる内容だ。
記憶や体験が抽出され昇華され洗練されて情報と呼ばれるようになる。
情報には実感が薄いから、追悼の念を深めるには大がかりな“祭壇”が必要なのだろう。
訪れるのが被爆の記憶を持たない者だけになったときに、この大がかりな追悼施設が機能し始めるのだろうか。
いまはまだ、実感から縁遠い場所である気がしてならない。